犬のリンパ腫

■犬の再発性リンパ腫における持続的L-アスパラギナーゼ、ロムスチンそしてプレドニゾンの多剤併用化学療法
Combination Chemotherapy with Continuous l-Asparaginase, Lomustine, and Prednisone for Relapsed Canine Lymphoma.
J Vet Intern Med. 2009 Aug 11.
Saba CF, Hafeman SD, Vail DM, Thamm DH.

背景:ロムスチン、L-アスパラギナーゼそしてプレドニゾン(LAP)のコンビネーションは犬のリンパ腫(LSA)における効果的なレスキュー療法である。これまでの研究において、我々はL-アスパラギナーゼを中止すると典型的に寛解が得られなくなると報告した。

仮説:ロムスチンと共にL-アスパラギナーゼを使うと犬のリンパ腫に対してよく通用し、レスキュー療法として効果的である。

動物:シクロフォスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチンそしてプレドニゾンを基本とした化学療法プロトコールで治療し、その後再発した細胞学的に多中心型リンパ腫と診断されている48頭の飼い主所有の犬。

方法:合計5回の投与あるいは病気が進行するまで、L-アスパラギナーゼの皮下あるいは筋肉注射と同時に3週間毎にロムスチンを経口投与した。プレドニゾンはプロトコールの期間中漸減して投与した。

結果:このプロトコールで治療した犬の奏功率(ORR)は77%で、完全寛解(CR)は65%だった。進行するまでの中央時間(TTP)は70日だった。ゆるい比較に基づくと、これらの所見は我々が以前に報告した所見と有意差はなかった。実際に投与したロムスチン投与量は反応率あるいは寛解期間に影響を与えなかった。

結論/臨床重要性:これらの所見は、LAPプロトコールはリンパ腫の犬における実行可能なレスキュー療法オプションであることを結論付ける過去のデータを支持する。しかし、この研究結果はロムスチン治療と一緒に連続的にL-アスパラギナーゼを使用することは寛解期間を明らかに延長させず、より毒性が強いように思われると示唆される。(Dr.Kawano訳)


■リンパ腫の犬において貧血は生存期間短縮に関連する
Anemia is associated with decreased survival time in dogs with lymphoma.
J Vet Intern Med. 2009 Jan-Feb;23(1):116-22.
A G Miller, P S Morley, S Rao, A C Avery, S E Lana, C S Olver

背景:腫瘍を持つ人の患者で貧血は一般的な合併症で、生存期間短縮およびクオリティオブライフの低下に関連している。

仮説:リンパ腫の犬における診断時の貧血の存在は、生存および寛解期間に負に関連するが、骨肉腫の犬ではそうではない。

動物:コロラド州立大学動物がんセンターに治療に来院したリンパ腫の犬84頭と骨肉腫の犬91頭

方法:遡及症例-コントロール研究。初回診察時の貧血の有無(PCV<40)を判定するため医療記録を再調査した。生存および寛解期間の中央値はKaplan-Meier product limit methodで判定し、貧血と生存性の関連はmultivariable Cox proportional hazard regression analysisで判定した。

結果:コントロール犬あるいは骨肉腫の犬よりも、癌関連貧血はリンパ腫の犬でより頻度が高かった。リンパ腫および貧血の犬は、貧血のない犬と比べ、生存期間が有意に短縮した。リンパ腫の犬の寛解期間に対する貧血の影響はなかった。骨肉腫の貧血した犬は、貧血していない骨肉腫の犬と比べ、生存あるいは寛解期間を短縮していなかった。

結論と臨床関連:初回診察時のリンパ腫と貧血の犬における生存期間の短縮は、重要な予後の意義を持つ。犬における癌関連貧血の理解は、それら患者におけるクオリティオブライフおよび生存期間を改善する新しい機会を提供するかもしれない。(Sato訳)


■犬の再燃性あるいは難治性リンパ腫に対するL-アスパラギナーゼ、ロムスチンそしてプレドニゾンによるコンビネーション化学療法
Combination chemotherapy with L-asparaginase, lomustine, and prednisone for relapsed or refractory canine lymphoma.
J Vet Intern Med. 2007 Jan-Feb;21(1):127-32.
Saba CF, Thamm DH, Vail DM.

背景:犬のリンパ腫(LSA)は初期治療に反応するが、初期のプロトコールの薬剤に対して抵抗性を示すようになる。新しいレスキュープロトコールが必要である。

仮説: L-アスパラギナーゼ、ロムスチンそしてプレドニゾンのコンビネーションはよく耐えることが出来、犬のLSAのレスキュー療法として効果的である。

動物:難治性あるいはCHOP (シクロフォスファミド/ドキソルビシン/ビンクリスチン/プレドニゾン)に基づいた化学療法プロトコール後に再燃した多中心型LSAと細胞学的に確定診断した飼い主が所有する31頭の犬

方法:前向き臨床試験。ロムスチン(標的投与量. 70 mg/m2)を3週間間隔で合計5回あるいは病気が進行するまで経口的に投与した。はじめの2回のロムスチン治療と同時にL-アスパラギナーゼ(400 U/kg)を皮下注射した。プレドニゾンはプロトコールの期間中漸減して投与した。

結果:このプロトコールで治療した犬のすべての反応率は87%(27/31)で、完全寛解に達した犬が52%(16/31)だった。反応に対する中央期間は21日だった。腫瘍の進展に対する中央期間は63日(完全寛解に達した犬で111日、部分寛解に達した犬で42日)だった。
このレスキュープロトコールを始める前にL-アスパラギナーゼを受けた犬とそうでない犬の間には、反応率と進展する時間に明らかな違いはなかった。副作用は軽度で、31症例中29症例で自然治癒した。

結論と臨床関連:これはよく耐えられる犬の再燃性LSAのレスキュー療法である。反応率と寛解期間は他の有効なレスキュープロトコールと匹敵した。従ってこのプロトコールは実行可能なレスキューオプションである。(Dr.Kawano訳)






■長期間多剤併用プロトコールと短期間単剤プロトコールを用いた犬のリンパ腫の治療における効果の比較Efficacy of a continuous, multiagent chemotherapeutic protocol versus a short-term single-agent protocol in dogs with lymphoma.
J Am Vet Med Assoc. 2008 Mar 15;232(6):879-85.

目的:犬リンパ腫に対して、ドキソルビシンを基盤とした長期間にわたる多剤併用療法と、短期間だけドキソルビシンを用いた単剤のプロトコールによる反応率と寛解率、そして生存期間の比較をすること。

統計:無作為抽出臨床試験。

動物:114頭のリンパ腫の犬。

方法:犬はL-アスパラキナーゼ、ビンクリスチン、サイクロフォスファマイド、ドキソルビシン、メトトレキサート、そしてプレドニゾロンで治療したもの(n=87)、もしくはドキソルビシン単剤で治療したもの(n=27)であった。

結果:多剤併用のプロトコールを用いて治療した86例中(1例で反応不明)63例の犬(73%)と単剤のプロトコールを用いて治療した27頭中14頭(52%)において完全寛解が得られた。サブステージ
結論と臨床関連:今回の犬の母集団では、長期間で多剤併用の化学療法と、短期間ドキソルビシン単剤のプロトコールによる反応率と生存期間に有意差は確認できなかった。(Dr.UGA訳)


■犬の薬剤耐性リンパ腫の治療のためのCCNUとDTIC化学療法の組み合わせ
Combination of CCNU and DTIC Chemotherapy for Treatment of Resistant Lymphoma in Dogs.
J Vet Intern Med. 2008; 22(1) 164-171.
A.B. Flory, K.M. Rassnick, R. Al-Sarraf, D.B. Bailey, C.E. Balkman, M.A. Kiselow, K. Autio

背景:P糖タンパク耐性はリンパ腫の犬で再燃をおこさせる一般的な原因である。CCNUとDTICは各々P糖タンパクによって影響されないアルキル化剤で、各々交叉耐性がない。この併用プロトコールにより総投与量の増加と相乗効果の改善をもたらすであろう。

仮説:CCNUとDTICの組み合わせは薬剤耐性リンパ腫又は以前投与された化学療法に反応しなくなったリンパ腫の犬の治療に用いることができる。

動物:基本的な化学療法(l-CHOP; L-アスパラギナーゼ, サイクロフォスファミド,ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾン)に耐性があるリンパ腫の犬57例

方法:第1相、第2相の前向き研究が行われた。DTICを静脈内投与する5時間前にCCNUを速やかに経口投与した。共通の制吐薬と予防薬の抗生剤が用いられた。治療は4週間毎に行われた。

結果:8例の第1相試験の結果を基に、CCNU40mg/m2の経口投与とDTIC600mg/m2静脈内投与が、薬剤耐性リンパ腫57例の治療に用いられた。13例(23%)はCRになり、中央寛解期83日間、7例(12%)はPRで中央寛解期間25日間であった。l-CHOPにおけるCRの中央寛解期間において、CCNU-DTICに反応がない犬は、CCNU-DTICで寛解した犬よりも有意に長かった(225日(l-CHOP)対92日(CCNU-DTIC)(P=0.02))。主な副作用は好中球減少で、治療後7日目の好中球の数の中央値は1,275cells/μLで、ALT活性の上昇はもしかすると肝毒性に関連しているかもしれず、7例で検出された。

結論と臨床学的重要性:CCNUとDTICの組み合わせは薬剤耐性リンパ腫の犬のレスキューとして効果的な治療になり得る。(Dr.HAGI訳)

■<犬の多中心型リンパ腫のCoapとUW19プロトコールの比較>
Comparison of Coap and UW-19 Protocols for Dogs with Multicentric Lymphoma
J Vet Intern Med. 2007 Sep-Oct;21(6): 1355 1363
Kenji Hosoya, William C. Kisseberth, Linda K. Lord, Francisco J.
Alvarez, Ana Lara-Garcia, Carrie E. Kosarek, Cheryl A. London, and C.
Guillermo Couto

背景:犬のリンパ腫の治療に対して様々な化学療法のプロトコールが報告されている。しかしながら、異なる研究からのプロトコールの比較、特に、生存期間と毒性を評価することは難しい。

仮説:リンパ腫の犬においてCOAP (C, サイクロフォスファミド; O, ビンクリスチン; A, シトシンアラビノシド; P,プレドニゾン)と修正されたウィスコンシン大学19週(UW19)導入プロトコールのどちらを選択しても特に生存期間に影響はない。

動物:101頭の多中心型リンパ腫の犬

方法:回顧的研究(2001~2006)。8週COP(C, サイクロフォスファミド; O, ビンクリスチン; P,プレドニゾン)で導入しCOAPで維持を行ったもの(COAP群)もしくは19週CHOP ((C, サイクロフォスファミド; H,ドキソルビシン; O, ビンクリスチン; P,プレドニゾン)を基本としたプロトコル(UW19群)を実施し、初回寛解期間、生存期間、毒性、費用に関して比較を行った。

結果:COAP群は71例、UW19群は30例で実施した。再燃後には様々なプロトコールが用いられた。COAPとUW19群の最初の中央寛解期間はそれぞれ94日(範囲:6~356日)と174日(範囲:28~438日)であった(P<0.01)。犬の中央生存期間はCOAP群とUW19群でそれぞれ309日(6~620日)、275日(70~1102+)であった(P=0.09)。交絡因子(WHO臨床ステージ、年齢、性別、再導入でのドキソルビシンの使用)を補正すると、COAP群の犬は死亡の危険率がUW19群(P=0.03)と比較して1.9倍(95%信頼区間1.1~3.4)であった。好中球減少症と胃腸障害毒性の重症度はCOAP群よりUW19群において有意に高かった。

結論と臨床的重要性:長期間ドキソルビシンを含む連続併用化学療法プロトコールはドキソルビシンを含まないプロトコールの一例と比べたところ再燃の危険性が少ないとともにと化学療法に関連した死亡の危険性が低かった。(Dr.HAGI訳)
■多中心性リンパ腫の犬の第一選択療法としてのロムスチンとプレドニゾン:17症例
Lomustine and prednisone as a first-line treatment for dogs with multicentric lymphoma: 17 cases (2004-2005).
J Am Vet Med Assoc. 2007 Jun 15;230(12):1866-9.
Sauerbrey ML, Mullins MN, Bannink EO, Van Dorp TE, Kaneene JB, Obradovich JE.

目的:多中心性リンパ腫の犬の第一選択療法としてのロムスチンとプレドニゾン併用投与に関連した反応率、中央反応期間、副作用そして予後因子を評価する。

設計:回顧的症例集積検討

動物:17頭の犬

手順:医療記録を評価した。シグナルメント、身体検査所見、診断検査結果、ステージとサブステージ、初期ロムスチンそしてプレドニゾン投与量、ロムスチン投与量の総量に関する情報を得た。

結果:5回投与、あるいは病気の進行が観察されるまで、ロムスチンを中央開始用量67 mg/m(2)で21日間隔の経口投与を行った。プレドニゾンは中央開始用量1.8 mg/kg/日 (0.82 mg/lb/日)、経口投与し、治療の初めの1ヶ月間から徐々に漸減した。6頭の犬は完全寛解し、3頭は部分寛解した。平均そして中央反応期間はそれぞれ48.8と39.5日であった。中央生存時間は111.2日だった。多重解析において、雌とより高用量のロムスチン投与量は、より長い無病期間と有意に関連した。好中球減少症は用量制限因子で、4頭の犬がロムスチン投与後1週間で、臨床的に重要な好中球減少症を呈した。

結論と臨床関連:ロムスチンとプレドニゾンの同時投与は多中心型リンパ腫の犬がよく耐えることができるが、罹患した犬の第一選択治療として、このコンビネーションの使用を支持しているわけではなかったということを結果が示している。(Dr.Kawano訳)
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